わたしがこの標本室に勤めるようになってからもうすぐ一年になる
その夕方島の港にまるで年をとった象のようにくたびれた灰色の貨物船がッと低く汽笛を鳴らしながらゆっくりと入ってきました
電車に一人で乗っている人は大抵無表情でぼんやりしている
五月二十日午前三時二十二分夜明けにはまだ間がある
昔はねえお家賃というのは本で払ったものですよ
こんな字がある小さい店のドアのガラスに書かれていた
ねえ姉さんが死んでどれくらい経つんだっけ
ジュゼッペはみんなからトリツカレ男ってあだなで呼ばれている
或る夜家に帰ると美しい文字の手紙が届いていた
いつ心臓がぶっこわれてもいい
実務家の弟と比べ彼にはいささかの空想癖があった
私は生前の彼女を知らない
ぼくはかみのぼうしをかぶりあたらしいらっぱをもってもりへさんぽにでかけました
むかしのむかしのはなしではありませんみらいのみらいのはなしです
キャベツくんがあるいてくるとブタヤマさんにあいました
ペンチくんはいぬのニッパをつれてパンツやさんにいった
五戦五敗の歴史を超えて
ぼくのメガザウルスがどんなにすてきかってことをどんなふうに話したらきみにわかってもらえるだろう
エレベはきわめて緩慢な速度で上昇をつづけていた
小説で生計を立てるようになってからおよそ十年になるけれど未だ小説というものを書いた覚えがない
建物の裏にまわって自転車をとめ郵便ポストを見ると自分宛のものではない郵便物が入っていた
ねえ——いっとう初めに降ってきた雨の話をしようか
しょっぱなに夢の話というのも芸がないけれどつらつら考えるにここから始めるのが一番よさそうだ
カップヌドルを食べるときもエレガントにみえるひとに憧れる
海猫は空に愛されている
ヘイヘイバンビノ!
キャヴィアをもっとどうかな?
どこの山かわかりません
ルバショフの背後で独房のドアがバタンと閉まった
その街の電車には煙突がはえておりました
いったい何が嫌いといって雑踏で突然背後から肩を叩かれることほど嫌なものはない
ある日のことである
兄さんが缶コを飲むと街は褐色に揺れる
大人はわすれてしまっている 子どもでいるというのがどういうことなのか
年中借金取が出はいりした
女の子の名前はほほといいました
ミシンは正直である
君はスケッチブックを開いて八角時計をいくつも描いていた
空港高校演劇のように神秘的な雰囲気を漂わせようとしている
母が死んだ時私の平凡だった世界は消えた
弟のことを考える時わたしの胸は石榴が割けたような痛みを感じる
麦ふみのことなんてなにもしらなかった
一七七七年合衆国は独立戦争において敗北の危機に瀕していた
まことに小さな国が開花期をむかえようとしている
春琴ほんとうの名は鵙屋琴大阪道修町の薬種商の生れで没年は明治十九年十月十四日墓は市内下寺町の浄土宗の某寺にある
曇天の午後四時が怖ろしい
あのう霧の谷へはどういったらいいんですか?
頭のてっぺんを何かがノックしたくねり
あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう
冷たい水にとりかこまれ陸地から遠く離れてぼくらは毎夜霧の出るのを待っていた